高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学 その2
昨日に引き続き、
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学(菅原晃、2013)
を読み進めていきます。
※ちなみに僕はKindle版の方を買って読んでます。「学習ツールとしてのKindle」についてまた機会があれば話してみたいです。
今回は
第2章 企業の赤字と貿易赤字の違い
のところを
第2章 企業の赤字と貿易赤字の違い
フローとストック
(企業の)黒字(the black)
=一定期間における収入が、支出を上回っていること。利益が出ていること。
(企業の)赤字(the red)
=一定期間における支出が、収入を上回っていること。損失が出ていること。
→フローの概念、らしい
⇒賃金とか、光熱費なんかは使い捨て(=消費)だから、「資産」として形を変えて持ち続けることが出来ない。
貿易黒字(輸出超過;a trade surplus)
=モノ・サービスのやりとりにおいて、輸出が輸入を上回っていること。
貿易赤字(輸入超過:a trade deficiet)
=モノ・サービスのやりとりにおいて、輸入が輸出を上回っていること。
→ ストックの概念に含まれる。
⇒モノ・サービスのやり取りの裏側には、必ずセットでその代金のやり取りがある(広義の資本取引)。輸出超過であるということは、代わりに相手国の資本が入ってきているということ……だと思う。
国際収支表の読み解き方
貿易収支というのは「経常収支」の一部であるらしい。
経常収支=貿易収支+所得収支+経常移転収支
貿易収支=モノ・サービスのやりとり
所得収支=対外資産が生み出す利子や配当のやりとり
経常移転収支=外国や国際機関への見返りのない援助(ODAとか国連拠出金とか。出稼ぎ労働者の母国への送金もここに含まれるようだ)
経常収支と対になるのが「広義の資本収支」とのこと。
広義の資本収支=資本収支+外貨準備+誤差脱漏
資本収支=資産・負債のやりとり
誤差脱漏=いろんなところで生まれる誤差を吸収する項目
(⇒正直、ここの項目の値が大きすぎて「誤差の吸収」に収めて良い気がしないんだけど、それについての言及はない。)
そしてこの「経常収支」と「広義の資本収支」を結ぶ等式(国際収支式)がこれ
経常収支+広義の資本収支=0
ここでイコールゼロになるのは、貿易に関わる収支をまとめた会計表(国際収支表)が「複式簿記」の方式で書かれているから、ということのようだ。
⇒ようするに「モノのやりとり」と「資本のやりとり」の対になる二つを同時に記入するので、全部足し合わせると相殺されるということ。
⇒よく考えれば貿易は極論してしまえば「モノの移転」な訳で、労働のように付加価値を生み出している訳ではないのだから当然な気がする。
⇒労働が関わる「経常移転収支」(出稼ぎ労働者の送金)は「財として労働力を輸入」して「相当分の賃金を輸出」という扱いになっているようだ。
結局のところ「貿易黒字/赤字」ってなんなのさ?
この章のまとめとなっている部分。
最初読んだときはピンと来ませんでしたが、今読むとよく説明されていると感じたので、多少長いですが全文引用します。
貿易黒字であるということは、日本国内で消費されなかった生産財・サービスを外国が消費(購入)したということです。と同時に、資本収支赤字であり、それは、日本に海外資産が入ってきたということ、外国の国債や株式・社債の増加、直接投資(海外に工場を建てるなど)の増加、あるいは、外国の銀行の口座残高が増えたということです。
日本から見ると海外にカネを貸し出していること(債権)です。日本円を外貨に替えることですから、外貨が増え、日本円の持ち分が減るので赤字となります。日本人から預金をしてもらった外国の銀行に取っては、債務になります。
(改行は筆者)
→対外債務というのは、必ずしも返さなければいけないという訳ではない。単に外国の企業が日本の土地や株を買っただけということ。
⇒それらを日本が買い戻そうとするときに外国に代金を支払わなくてはいけないので、「債務」と呼ばれるのだと思う。
ここで生まれた疑問。
「外貨を稼ぐ」ことの重要性を良く耳にする気がするが、これはどういうことを意味しているのか?
これは一旦寝かせておいて、次回以降への課題としておきましょう。
【今回の三行まとめ】
- 企業の黒字/赤字はフロー、貿易の黒字/赤字はストック。
- 経常収支+広義の資本収支=0。貿易は「モノの移転」で、何かを生み出している訳ではないから。
- 対外債務は返さなきゃいけないものではない。
本当は第2章、第3章と2つまとめてやりたかったんですが、案の定前半だけまとめるのにも時間がかかったので今回はここまでにしておきます。
まとめることによって分からなかったところがすっきりしたんで気持ちがいいですね。
明日からもこの調子でやりたいと思います。
それでは
KnoN(記事作成時間約90min)