高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学 その6(前編)
休みということで寝坊してしまいました。
しかしなんとか午前中にブログを書く時間が残る程度の寝坊で済み、
一週間徐々に早起き方向にシフトしてきた成果が出ているのかなー、などと思います。
引き続き
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学(菅原晃、2013)
の
第6章 財政政策と金融政策
をやっていきます。
※今回はグラフを用いた説明が多くなっていますが、片手間のブログでは素材を用意しきれないためほぼ全て省略しています。本当に学びたい人はテキストを直接参照してください。
第6章 財政政策と金融政策
財政と金融、政府と日銀
国が取りうるマクロ経済の政策には財政政策と金融政策の2種類がある。
財政政策=政府が主体。政府支出Gや税収Tを調整することでGDP三面等価式*1をコントロールする。
金融政策=中央銀行(日銀)が主体。金利rやマネタリーベース・マネーストックなどの貨幣量を通じて貨幣市場をコントロールする。
マクロ経済政策の目的は次のようなことであ。
- 物価の安定(=通貨価値の安定)
- 雇用の確保(⇒貯蓄Sの確保?)
- 経済成長(⇒GDPの増加、プライマリー・バランスの向上)
例えば2012年の日本経済を見ると、総供給能力としての総生産Yと実際の支出に結びつく需要(=有効需要?)C+I+G+(EX-IM)の需給ギャップは15兆円とされている。
総供給能力Y -15兆円=家計消費C+企業投資I+政府支出G+貿易収支(EX-IM)
この場合需給ギャップを調整するために、供給側がその生産能力Yを抑えて供給量を減らす(作っても売れないから)。
→総生産GDPが減少し、経済規模が縮小して景気が冷え込む。
→デフレ、失業、マイナス成長が起こってしまう。
そこで右辺の需要側にテコ入れし、経済の規模を支える必要がある。
→そもそも家計Cは節約している、企業Iも同じ、貿易収支もむしろマイナス。
→政府支出Gを増やして需要側から需給ギャップを調整する(財政政策)
→5兆円以上の公債を発行した上で、補正予算約13兆円を組んで支出を増やした。
このような財政政策と、前章で説明したような金融政策とを組み合わせて市場の安定や経済成長の促進を行っている。
→2008年のリーマン・ショックを契機として世界的大不況においても、大規模補正予算、各国協調のもとでの金利引き下げによる金融緩和などにより世界経済の実質GDPはV時回復を成し遂げている。
⇒これは実際にグラフで見てもらった方がわかりやすい。
とりあえず参考までに 実質GDP成長率 グラフ - Google 検索
財政政策・金融政策はGDPの三面等価式のそれぞれについて分担して働きかけを行い、経済をコントロールしている。
財政政策→政府支出G、税制変更や手当などにより家計消費Cや企業投資Iも間接的にサポート
金融政策→家計消費Cと企業投資I、為替や金利を通じて貿易収支(EX-IM)も間接的にサポート
2つの均衡曲線
このような経済政策が実際にどのような効果を上げうるのか、分析する手法はいくつかある。しかし一長一短であり、完全なモデルは存在していない。
→ここではシンプルで信頼性のあるIS-LM分析(伝統的ケインズモデル)について説明する。
IS-LM分析はIS曲線とLM曲線の2つの曲線の交点から、財(モノ・サービス)の需給と貨幣の需給が均衡する状態を求める。グラフの横軸は国民所得Y*2、縦軸は利子率rを用いる。
IS曲線=財市場(モノ・サービス)の需給を一致(均衡)させるような利子率rと国民所得Yの組み合わせの集合。投資(Investment)と貯蓄(Saving)。
LM曲線=貨幣市場の需給を一致(均衡)させるような利子率rと国民所得Yの組み合わせの集合。流動性選好(Liquidity Preference)と貨幣供給量(Money Supply)。
◯IS曲線
分析の中心になるのはGDPの三面等価式(財の需給一致)。既に何度も出ているが、改めて確認しておく。
このうち、特に投資Iは利子率rの影響を受けると考えられる。
→金利が低ければ資金を調達しやすいので投資が活発になり、高ければ債務の返済が優先されるので投資が低調になる。
→このことをI(r)と表すと、改めて三面等価式は次のようになる。
Y=C+I(r)+G+(EX-IM)
投資Iが増えれば左辺の所得Yも増える。
→YがY1に増大すると、消費Cも貯蓄Sも増える(Y=C+S+T)。
→(投資Iが増えた以上に?)Yが増えるので、利子率rが下がり投資I(r)はI1に増大する。
→新たな均衡点Y1とI1(=r1)が成立する。
Y1=C+I1(r1)+G+(EX-IM)
……ここちょっとわからないな。
Iが増大すると、Yが増大します。Iは利子率rに依存します。YがY1に増大すると、消費Cも貯蓄Sも増えます。貯蓄Sが増えた分だけ、Iも増えないと、左辺と右辺が均衡しません。
というように説明されてるけど、なんか循環してない? Iが最初と最後の2回増えている気がする。
⇒あー、等式だけを追うんじゃなくて、その意味を考えればいいのか。
「設備投資Iをすることにより生産能力Yが向上する」のは当然だし、普通なら投資した以上のリターンがあるから投資する訳で。上の説明の()の中の?がとれるのか。
このように、利子率rが下がると、投資Iが増え、Y(=GDP)が増加する。
→このときのrとYの関係を示す曲線をIS曲線といい、右下がりになる。
◯LM曲線
分析の中心は貨幣の需給一致。需要が多ければ「お金に付いた値段」であるところの利子率rは高くなり、その逆も然り。
まず貨幣需要・貨幣供給のそれぞれについて確認する。
貨幣需要=取引需要(消費C)+資産需要(貯蓄S;誰かに投資+現金で保持)
→お金の使い途としては、極論すると「使う」か「貯める」のどちらかしかない。
→貯め方には2種類あって、金融機関(銀行)を通じてどこかに投資する(債券として持つ)か、タンス貯金のように現金で持っておくか。
→利子率rが高ければ投資した方がお得。低ければ現金の方が使い勝手が良いのでそのままの形で手元に置く(流動性選好)。
→利子率rにより需要の内訳が変化する。
貨幣供給=日銀の管理するマネタリーベース、政策として自由に設定できる。
分析の本題に入る。
はじめに貨幣市場の需給が一致(均衡)しているとする。
→所得Yが増えたとする。取引が活発になるので貨幣の取引需要が増える。
→供給が一定なら取引需要の増加は資産需要の減少で辻褄を合わせなければならない。
→利子率rの上昇により、(同じ収益を得るにも元手が少なくて済むので?)資産需要が減る。
……ここにもひっかかりが。rの上昇と資産需要の減少の繋がりがはっきりしないけど、こういう理解で良いんだろうか。
⇒というかこんな説明しなくても、「総供給は同じ、取引の需要を満たすには資産需要から持ってくる必要がある→資産を引き止めるためにはより強い魅力として高い利子率が必要」じゃだめなのかな。
このように、Yが増加すると取引需要が増え利子率rが上がる。
→このときのrとYの関係を示す曲線をLM曲線といい、右上がりになる。
……記事の分量が長くなってしまったので一旦ここで分割します。
【三行まとめ】や感想などもそっちで。