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KnoNの学び部屋

落ち着きのない大学院生が専攻に関係ない(むしろそっちのけで)学んだコトを記録しておく場所

現代思想の教科書 その1

今年一番の暑さらしいです。

朝、蒸し暑さで目が覚めた……。

 

今回からは

現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫)石田英敬、2010)

をやっていきます。

まずは

1 「現代思想とは何か」 ーイントロダクションー

から。

 

現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫)

現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫)

 

 

1 「現代思想とは何か」

「いま」を「ここ」から考える

 本書では「現代」を取り巻く思想を考えていく。

 「現代」とは21世紀初頭の、私たちが生きる「いま」であり、そこを考える「知の地平」とは自分自身の立つ「ここ」である。

現代人の人間としての存在、社会のあり方、文化や環境の成り立ちについての根本的な成立条件を問う試みが、「現代思想の問い」である。

 

 現代思想は一つの学問領域(ディシプリン;discipline)ではなく、むしろ様々な学問領域を横断する学際的な「問いの圏域」として現れる。

 様々な学問が今日の世界について問いを立てるときの、その問いが作り出している広がり・相互の関連・結びつき、といったものが「現代思想の問題群」として設定されるものである。

 

 

思想とは何か?

 議論の前提として「思想とは何か?」について考えておかなければならない。

 思想とは、端的には「考えること」である。かつてデカルトは「方法的懐疑」として私たちが当たり前だと考えている世界の様々な条件の全てを疑い、ゼロベースで構築し直すことを提案した。(考える、故に我在り;cogito, ergo sum)

 これを現代において言い換えるならば、「思考による存在の基礎付け」と説明することが出来るだろう。今、当たり前のものとして存在している「世界」の根拠を問う、考えるという活動を通して結びつくという経験こそ、「思想」の経験に繋がるものである。

 

 すでに述べたように、デカルトは近代の初めにおいて従来の形而上学の体系を全て白紙に戻して近代学問の基礎を構築した。

 しかし私たちの「現代思想」は、むしろここ100年ほどの新しい学問の動向、「学際的な知」として起こっている知の総体(=「現代的な知」)を前提として行う。

 

 「知」とは、その時代の学問の相関を成り立たせている知識の体系のことである*1

 一つの時代には様々な学問が並立しているが、それらは独立して無関係にあるのではなく、相互の連関し位置づけられている。その「知のシステム」は時代ごとの「世界の成り立ち」によって成立条件を変化させる。この「世界」と「知」の関係をめぐる問いは「知の条件をめぐる問い」と言うことができる。

 

 21世紀現在の私たちの「知の条件をめぐる問い」を今一度捉え直し、今日の学問が立てている問いが、私たちの日々の生活のついてどのようなアクチュアル(実際的)な

問題として立ち現れてくるのかに大まかな見取り図を与えるのが、本テキストの目的となる。

 

現代における「4つのポスト状況」

 現代における知と世界の関係は「4つのポスト状況」という言葉で形容できる、と著者は考えている。

  1. ポスト・グーテンベルク状況
    →活字メディアによる文化圏の一区切り。「グーテンベルクの銀河系」の終焉。
  2. ポスト・モダン状況
    →啓蒙の時代の終わり。「近代」というプロジェクトのストーリーの崩壊。
  3. ポスト・ナショナル状況
    国民国家体制の無効化。幻想としての「国民」の消失。
  4. ポスト・ヒューマン状況
    →技術の飛躍的な発展。「人間」と「テクノロジー」の境界のあいまい化。

 

 私たちはこのような「近代の枠組み」による世界の中で、生まれつつある「近代の外」「ポスト近代」に繋がる問題群を考えていかなければならない。

 自分たちが基本的な立ち位置として考えていた「人間」という立場の輪郭すら危うくなってくる状況の中で、その先行きを見通していこうとすることが「現代思想をめぐる知の地平」である。

 

 本書ではそのための基本的な切り口として、次のようなプロブレマティック(問題群)を取り上げる。

  • 「意味」
  • 「欲望」「無意識」「身体」
  • 「文化」
  • 「社会」「権力」
  • 「テクノロジー」「メディア」
  • 「戦争」「宗教」
  • ナショナリズム」「国家」
  • ジェンダー」「マイノリティ」

 

 

【今回の三行まとめ】

  • 現代思想」とは、「いま」「ここ」に存在している世界の根本的な成立条件を問う試みである。あらゆる学問を横断する「問いの圏域」として現代思想は立ち現れる。
  • かつてのデカルトとは異なり、ここ100年ほどの「現代的な知」の動向を踏まえた上で、その知がいかなる世界に支えられて成立しているのかという「知の条件をめぐる問い」を投げかける。
  • 現代における知と世界の関係は「ポスト・グーテンベルク」「ポスト・モダン」「ポスト・ナショナル」「ポスト・ヒューマン」という4つのポスト状況によっって形容できる。

 

【今回の宿題】

 

……初回なのでこんなところで。

 前のテキストとは打って変わって、現代思想について扱います。

 自分のテーマの本題とはやや外れますが、院試対策も兼ねてということで。既読テキストとの比較では『ロラン・バルト』の時のテイストに近くなるでしょうか。

 去年の晩夏〜秋にかけて読んでいたものの再読となりますが、自分の受け取り方にどのような変化が生まれているのか確認するのも楽しみです。

 次回は

2 「言語の世紀」の問い ーソシュールをめぐってー

をやっていきます。

 

それでは

 

KnoN(60min)

 

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*1:トマス・クーンのパラダイム、あるいはミシェル・フーコーエピステーメーのようなことを指している?