メモ:コミュニケーション・モデル試案
昨日は既存のコミュニケーションのモデルということでソシュールの「ことばの回路」、シャノンの「シャノン・モデル」、ヤコブソンの「6機能図式」をおさらいした。
そこでの考察も踏まえて、現時点で考えているコミュニケーションのモデルについてまとめてみたい。
まあ、メモ書きみたいなものです。
議論の前提
議論の前提としていくつかの仮定をおく。これは数学で言うところの公理に該当する。
- 意味情報はすべて単純な命題*1の集合として、近似的に記述できる。
- コミュニケーションの第一目標は「発信者の意図を正確に受信者に伝えること」である。
- 言語記号は意味情報の表現に、第一義的な地位を持つ。
- コミュニケーションの参加者は「人間と人間」であるとする。
コミュニケーションのメカニズム
- 発信者Aと受信者Bがいる。彼らはそれぞれ属する文化的共同体の固有のコード(=ソシュールの用語におけるラング)と、個人に固有のコンテクストを持っている。
- 発信者Aは自らのコンテクストの延長として、頭の中で「伝えたいこと」を構想する。
それは曖昧模糊としたものであり、明確に表象することは出来ないが、発信者自身にはその同一性に対する確信がある。 - 発信者Aの構想した「伝えたいこと」が、彼/彼女の有するコードに従い「概念的なもの」の集合に整理される。
例えば「痛み」という概念は様々な連想をその背景に持っているが(=伝えたいこと)、一語の概念によって整理して表現される。 - 発信者Aの中で整理された「概念的なもの」は、発話などにより「表現物」として固定化される。これはソシュールの言うパロールに相当する。
→同じ「痛い」ということを発話するにも、形容の仕方や口調により表現のされ方には様々な幅がある。一度発話されることで、その可能性が固定化される。 - 受信者Bは具体的に固定化された「表現物」を受信する。
- 受信者Bは自らの有するコードに従い、その(パロールとしての)「表現物」を(ラングのレベルの)「概念的なもの」に変換する。
- 受信者Bは自らの有するコンテクストを参照しながら、「概念的なもの」が本来持っていた「伝えたいこと」の再生を試みる。
- 受信者Bの参照するコンテクストと発信者Aが生成に利用したコンテクストが、充分に共有されていれば、発信者Aが構想した「伝えたいこと」と同じものが受信者Bの中に出現し、受信者Bはそれを了解する。
解説
◯意味情報の3つの形態
このモデルにおいて、両者の間でやりとりされる意味情報は都合3つの形態を取っている。
- 伝えたいこと=曖昧なもの。やりとりされるべき本質。
- 概念的なもの=「伝えたいこと」を自らが属する文化の語法に従って言語化・概念化したもの。
- 表現物=頭の中の不定形な「概念的なもの」の集合を、具体的にやりとり可能なものとして外部に出し、固定化したもの。
これを受信者の側から見ると次のように説明できる。
- 表現物=やりとりの中で受けとったもの。メッセージ。
- 概念的なもの=「表現物」をコードに従って翻訳したもの。「表現物」の明示的な意味(デノテーション)。理想的には「表現物」と一対一に対応する。
- 伝えたいこと=「概念的なもの」をコンテクストに従って類推解釈したもの。「表現物」の共示的な意味(コノテーション)。
◯発信者と受信者の2つの回路
このモデルで両者の間にコミュニケーションが成立するためには「表現物」「コード」「コンテクスト」が共有されていることが必要である。
表現物は、明示されている回路(=コンタクト)によってやりとりされている。
コードは、同じ文化的共同体に所属するものとして共有されている。
→「コンテクストを共有する見えない回路」が両者の間に成立しているはずである。
……まだかなり頼りない感じ。
頭の中で要素が複雑に絡みすぎているので、いちいち説明するとうるさく、かといって省略するといい加減が過ぎるように見える。
ということは整理が不十分だと言うことだ。もっときれいに分かりやすく説明できるはず。
- 「3つの形態」はおおまかにはこれでいいはず。自分の考えを反映できている。
- 「コード」「コンテクスト」の扱いがしっくりこない。
- 「見えない回路」は時間軸がずれている。それを畳み込めれば初対面の人とも理解しあえる状況が想定できるが、それに意義はあるのか?
- というか「言葉にできないこと」を言葉で説明するって無茶。
- 前提の部分を崩していくことで自分が想定する「色々なコミュニケーションの形」に対応できる。芸術作品に対する反応とか、建築空間の利用とか。
書いてみて、まとまったようなまとまらなかったような。
明日中にはラフスケッチを完成させたいんだけど難しいかな……。
それでは
KnoN(--min)
*1:「〇〇は××である」のようなものを想定。