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KnoNの学び部屋

落ち着きのない大学院生が専攻に関係ない(むしろそっちのけで)学んだコトを記録しておく場所

誰のためのデザイン? その4

9.『誰のためのデザイン?』

歯車が微妙に噛み合っていない感じ。 

 

引き続き

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)(D.A.ノーマン、1990[1988])

第6章 デザインという困難な課題

をやります。

 

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

 

 

第6章 デザインという困難な課題

◯デザインをめぐる現在の情勢においては、デザインの「自然な進化」を妨げる要因が存在する。

 かつて日用品のデザインは、職人(デザイナー)とユーザーの長期的な対話(フィードバック)を通じて細い改良を繰り返すことによって洗練されてきていた。これはデザインの「自然な進化」といえる。

 現在においては次のような要因によりそのメカニズムが機能しなくなってしまっている。

「自然な進化」を妨げる3要因

  1. 時間の切迫:改良点のフィードバックよりも先に次のモデルが開発される
  2. (クライアントの)差別化志向:既存製品との違いを打ち出さなければならない*1
  3. (デザイナーの)個性の主張:作者としての印を残したがる

 

◯デザイナーがデザインに対し誤りを犯してしまいがちな原因として次の3項目を指摘できる。

デザイナーを誤った道に進ませる主な原因*2

  1. 「美」が外部から評価を受ける際の主な基準とされやすい
  2. デザイナー自身はプロダクトの「典型的なユーザー」となり得ない
  3. 満足させるべきクライアントは必ずしもエンドユーザーではない

 

 そもそもデザインとは「美しさ」「使いやすさ(使用性)」「経済性」「作りやすさ(生産性)」 などの要件をバランス良く成立させるためのものである。

 それにもかかわらず、しばしばデザインを対象とした評価の場においては「美しさ」のみが基準とされやすい。そのためデザイナーも「美しさ」に優れたものを生み出すように思考してしまいがちである。

 またデザイナーはそのデザインの過程でプロダクトに対し「道具として習熟」してしまうため、なんらかの「作業」をするためにプロダクトを扱う一般ユーザーと同じ土俵に立つことができない。「使いやすさ」の自己評価においてへだたりが生じる可能性が大きい。

 デザイナーが相手をするクライアントは必ずしもエンドユーザーであるとは限らず、「経済性」や「作りやすさ(=生産コスト)」をより重視することがある。そのためユーザーにとっての「使いやすさ」が優先順位を下げられてしまう。

 

 このような状況においては、デザイナーが「デザイン」に対し誤った信念を持ってしまうのもやむを得ないだろう。

 

◯コンピュータに関わることは本質的に抽象的であるため、常にも増して「自然なデザインの原則」を意識する必要がある。

 コンピュータはその動作メカニズムを見て取ることができず(可視性の欠如)、加えて行為と結果の対応づけが究極的に人工的・恣意的になってしまう。そのため一層「自然なデザインの原則」を意識しなければならない。

 

 コンピュータは大きな拡張性と柔軟性を備えており、すでに詳しい知識を持つ「専門家」にとっては非常に役にたつ「道具」となり得るだろう。

 しかし多くの一般ユーザーにとって大切なのは、それを用いて行いたい「作業」であり、それによって得られる「結果」である。「何ができるか」よりも「やりたいことのために、何をやるべきか」の方がユーザーにとってのより重要な関心ごとであると心得るべきである。

 

 ユーザーがシステムを学習しやすくする方法として、システムを探索可能にして試行錯誤させることで学習させるというやり方がある。「何ができるか」「何をしてはいけないか」を体験的に学習することにより、道具として習熟し、応用を効かせられるようになる。

システムを探索可能にするための3条件

  1. その時点で「できること/できないこと」がすぐにわかる
  2. 行為と結果がわかりやすく、解釈しやすいようになっている
  3. 行為は代償なしにやり直すことができる(undoできる)

 

【今回の宿題】

  • 特になし 

 

……できれば第7章まで一気にやりたかったけど、あんまり捗らなかったので。

 内容自体は主張がはっきりしていてわかりやすい部分だと思う。あとはこういったネガティヴな環境要因にどう対処していくか。

 

それでは

 

KnoN

 

GMとともに

GMとともに

 

 

*1:比較対象は競合他社のみならず自社の先行製品も含まれる。そのため「イヤーモデル」と「意図的な陳腐化」という概念が生まれる。
 毎年新しいモデルを発表することで買い替え需要を生み出す戦略であるが、これにより「1. 時間の切迫」という問題が引き起こされる。
 もともとは米GMがT型フォードの量産性に対抗するために採用した。
モデルチェンジ (自動車) - Wikipedia

*2:これはデザイナーが抱く信念、そもそもの問題設定に誤りがあるので、ミステーク型のエラーだと分類できる。