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KnoNの学び部屋

落ち着きのない大学院生が専攻に関係ない(むしろそっちのけで)学んだコトを記録しておく場所

ブログ形式リニューアル!:10月第3週のまとめ

◯月次報告・読書記録

しばらく間が空いてしまいました。申し訳ありません。
先月末からつい先日までやることが多くて非常に忙しく、なかなか手をつけられなかったのです*1
しかしながらその過程で色々と状況も変わり、こちらのブログの更新スタイルもリニューアルすることにしました。

今後は

  • 週一金曜定期更新
  • 内容は「今週の一冊」「今週の気になるニュース」「修士論文進捗状況」の三本立て
  • いろいろな本やニュースに対し「自分なりのコメントを付け加える」ことを重視する
    というスタイルでやっていこうと思います。

    (見た目は全然変わりませんが)新しくなった「学び部屋」を今後もよろしくお願いします。

<目次>

今週の一冊:デジタル世界の創世記『チューリングの大聖堂』

【3つのおすすめポイント】

  • 稀代の天才ジョン・フォン・ノイマンが夢の万能計算機「チューリング・マシン」を実現させていくロマン
  • 「生物における構造の解明と、技術における構造の解明が交差する」ロマン
  • 「生命としての特質」を獲得した機械が自己発見を遂げていくかもという未来予想のロマン(?)

研究の一環として、今月はランダムに選定した大量のビジネス書に目を通していました。
今回はその中から特にロマンあふれる一冊を紹介。
表題の「チューリング」とは、20世紀前半の天才数学者アラン・チューリングのこと。第二次世界大戦時にドイツ軍の「エニグマ暗号」を解読したことでも知られている*2。そのチューリングが提唱した「万能チューリング・マシン」は、原理的にあらゆる「計算」が可能であるとされた。
チューリングと同じく20世紀を代表する天才科学者であるジョン・フォン・ノイマンは1950年代の水素爆弾開発の過程で核爆発のメカニズムや影響をシミュレートするためには計算機(コンピュータ)が必須であると考え、その実現に邁進。1953年、ついにその原型を稼働させるに至る。この1953年というのは、ワトソンとクリックが遺伝子の二重螺旋を発見した年でもあった……。

本書はフォン・ノイマンを中心にして語られるが、2つ目のポイントである「生命と機械技術の交錯」により直接的にアプローチしたニルス・アール・バリチェリが個人的にはより印象深い。1953年の時点ですでにコンピュータの中に「数値としての生命体」を生み出そうとしていただなんて!

ページ数も多く、章立ても時系列や特定の人物に焦点をあてた構成になっているわけではないので、読むのに骨が折れることは確かだ。実際自身も最後まできっちりと読み終えているわけではない。
しかしその読みにくさを補って余りある「ロマン」を感じたのでこうして紹介させてもらった。高校生の時に読んでいたら真剣に進路を変更していたかもしれない。
近年人工知能技術の発展に伴いさまざまな議論が展開されているが、その始まりの時代に目を向けることでそういった議論への理解も深まるだろう。

それでもなおわれわれは、一九五三年に問いかけられたのと同じ二つの疑問に向き合い続けている。
「機械が考えるようになるには何が必要か」というチューリングの問いかけ。そして、「機械が子孫を作るようになるには何が必要か」というフォン・ノイマンの問いかけだ。
(ダイソン『チューリングの大聖堂』 p.74)

今週の気になるニュース:貸し出し実績好調な県立図書館……市立図書館との住み分けは?

朝日新聞「謎解き!日本一」2016年10月18日付朝刊

  • 岡山県図書館が、来館者数と個人への貸し出し資料数において全国の都道府県立図書館の中での1位を記録した(11年連続)
  • 人気の秘訣は新刊書の充実と手厚い読書相談
  • メール・電話・来館時を合わせた相談件数は年間8万件を超える


今週の気になるニュースは図書館について。
実は卒業論文図書館建築をテーマにしたこともあり、図書館の運営やあり方などについては多少の知識を持っている。
このニュースで気になったのが「県立」図書館を来館者数・貸し出し資料数で評価しているという点だ。

公立図書館には「資料の収集・保存」と「収集した資料の市民への提供」という大きく二つの役割がある。
この二つは図書館における蔵書構成や人員の配置などの面でトレードオフの関係になることがあるため、図書館ごとに役割を分担することが期待されている。
参考:公立図書館の任務と目標

  • 前衛・市町村立図書館→市民に身近な図書館としてアクセスしやすい立地を選び、日常的に必要になりそうな資料を揃え、日々の読書指導などを行う
  • 後衛・県立図書館→「市町村立図書館への援助を第一義的な機能」とし、より幅広い資料を所蔵し、専門的な内容に対する読書相談(リファレンス)を行う


もちろん参考リンクにもあるように「県立図書館であるということを理由に,全く個人貸出を行わないとか,児童サービスを実施しない」ということはあってはならない。
しかしこの考え方に基づくのならば、県立図書館の評価は「専門性の高さを発揮できているか」の観点で行うべきであり、単純な「来館者数・貸し出し資料数」ではかるべきではない、と指摘できるだろう。
この記事が元になって、他県で県立図書館に対し「貸し出し実績が少ない!」と突き上げなどがなされてしまっては本末転倒と言える。


……と、ここまでが原則のお話。
個別のケースをよく見てみると、これまでとは違った事情が見えてくる。
岡山の図書館の場合、その「立地」が問題だ。

岡山駅から大通りを東進、ランドマークの岡山城近くにある県立図書館と、だいぶ南に下った河沿いにあり最寄りの路面電車停留所から10分以上は歩く必要がある市立中央図書館。
この位置関係では日常的な利用にも県立図書館を利用したくなる気持ちがよく分かる。そもそも適した場所に適した機能の図書館が建っていないわけだ。

図書館は無料貸本屋ではないのか?」という議論の歴史は長く、近年は電子書籍媒体の普及に伴い「図書」をめぐる環境も変わってきている。
「前衛/後衛」論もいずれ古臭い考え方になってしまうだろうが、それまでは図書館設置趣旨の原則とその立地環境などを合わせて冷静に実態に即した議論となるようにしていきたい。

修士論文進捗状況:第一段階の作業終了、第二段階の検討へ

ビジネス書とそれの要約を提供するサービスを題材に、「読書体験において要約は積極的な価値を持ちうる!」ことを示すための研究を行っています。
いろいろと紆余曲折もありながら10月頭に最終的な方向性が固まり、三週間ほどは分析データを増やすためのサンプル分析作業に勤しんでおりました。
その数なんと30冊! もちろん全ての本を頭から最後まで読みきるわけではありませんが、それでもなかなか骨の折れる仕事です。

ただ、怪我の功名というか、役得というか。
ランダムに選定した本に大量に目を通したので、普段の自分だったら手にも取らないだろうなという本も読めたことが面白かったです。ジャンルがビジネス書だったこともあって非常に勉強になりました。一冊末尾に挙げましたが、他の本も折りを見て紹介していきたいです。

次はその分析データを元に、人に要約が実際にどれだけの価値を持ちうるかの評価をお願いする調査の準備に入ります。 前例の少ない(というかほとんどない?)題材なので質問項目を考えるのも一苦労ですが、正念場だと思って頑張ります。

その他



……最初ということでちょっと気合が入りすぎました。
久々で感覚を思い出しにくかったのと、構成をリニューアルしたこと、さらに欲を出してMarkdown記法に再挑戦したせいでやたら時間がかかってしまいました。Markdown、なんか直感的にわかりにくい……。
次回は2時間以下、1.5時間くらいで仕上げるのを目指したいと思います。ボリュームも、もうちょっと抑えめでもいいのかなと思うところ。
それではまた来週。

KnoN(180m)

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理想の図書館とは何か: 知の公共性をめぐって

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*1:時期を逃してしまったので「9月のまとめ」はやらないつもりです

*2:アラン・チューリング - Wikipedia