大きな山を乗り越えて:11月第3週のまとめ(11/12-11/18)
今朝までにやらなきゃいけないことがあったので今週は一日遅れてしまいました。
そういうところまで織り込んで前倒しでやっておく、というのが正論なんでしょうが、競合していたのが最優先課題だったのでしょうがない、と言い訳しておきます。
もっと余裕を持ったスケジュールで過ごしたいというのは大体の人の共通の願いのはず。
今週の一冊:いろんな読書の楽しみ方『バーナード嬢曰く。』第3巻
今週は課題図書以外の本を読めなかったのでマンガを紹介してみる。
といってもこの欄は「読書」の定義を広く取っているので、変化球ではあっても外道というわけではない。
一応「第3巻」としているが、基本的にはシリーズ全体の話をするつもり。
読書家"ぶりたい"女子高生・町田さわ子(自称・バーナード嬢。バーナード・ショーから取っているとか)を中心に、ひねくれた読み方を好む遠藤、SFマニアの神林、遠藤に片思いをする図書委員・長谷川さんなど一筋縄ではいかない本読みたちが、タイトルについて語ったり表紙について語ったり色々やったりする。
ちょこちょこいろいろなところに出ているらしいので見たことがある人は多いかもしれない。ちなみに私は『BRUTUS』のこの号とかで知りました。
BRUTUS (ブルータス) 2015年 1/15号 [雑誌]
- 作者: マガジンハウス
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 雑誌
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登場人物たちが変わり者なら、その読み方も自由奔放だ。なにせ
みたいなのが表紙である。
「本はひとりで黙って読む。自発的に、たいていはじぶんの部屋で」(津野海太郎『読書と日本人』*1)という通念や、「本というものは始めから終わりまで全部読まなければならない」「ある本について多少なりとも正確に語るためには、その本を読んでいなければならない」(バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』*2*3)みたいな規範はそこから感じられない。あくまで自分が読みたいものを自分が読みたいように読んでいる。
読書というものはもっと自由であって良い、というのが自分のスタンスだ。
型にはまった読み方は「本を通じて情報にアクセスする」ことのハードルを上げ、そこから生まれうる「読まれ方」の可能性を潰してしまう。作者だって、「敬して遠ざける」よりは多少無礼でも読んでもらえた方が嬉しいだろう。*4
「自由な読書」を体現しているこのシリーズは最近のお気に入りの一つ。
※そういえば今期からアニメも放送しているらしい。……アニメにできるの?
今週の気になるニュース:「人工知能の国語偏差値49.7」が示すこと
- 2013年度から東大合格を目指している「東ロボくん」が、苦手科目を克服できずに当面の目標達成を断念した。
- 世界史や数学、物理は得意だが、国語や英語が苦手。
- 今後は世界史など分野で使われた「膨大な情報から答えを見つける技術」を産業応用する研究を続けていく。
以前からは話は聞いていたが、いわゆる「壁」にぶつかったということらしい。
現在の人工知能は基本的に「膨大な情報を収集し、そこからパターンを読み取って「帰納的に考えて正しいっぽい」答えを返す」というやりかたで動いている。
その技術的な限界として「文章の意味内容を理解する」質問には対応できず、成績が伸び悩んでしまったとのことだ。それ自体はしょうがないことなので、次のブレイクスルーを待つしかないだろう。
が、ここで気になったのは、そういう「文章の意味を(原理的に)理解できない人工知能よりも成績が低い人間の生徒がいる」ということ。つまりこの層は「文章の意味を理解できていない」ということが示唆される。
日本語を話せ、日本語を音読できたとしても、その指し示す「意味内容」を理解できていなければ日本語を「読める」といえるのだろうか? そうしたことができない層が、今後日本社会の中に適応していけるのだろうか?
いつくるかもわからない(けれどいずれは確実に来るであろう)「人工知能が人間を超える日」に戦々恐々とするよりも、現代にいる「日本語の読めない高校生」の将来を考える方が緊急の課題なのではないか。そちらのほうに何かしらの対策は打たれているのだろうか。そんなことが気になったニュースだった。
……みたいなことを考えていたらまさにそれについての論考があった。しかも注目している数字(国語の偏差値49.7)まで一緒だ。ドヤ顔で語っていた自分がちょっと恥ずかしい……。
修士論文進捗状況:ぎりぎりながら踏みとどまる
今週やったこと:
- 質問項目の完成
- インタビュー調査
- 調査協力者の確保(現在進行形)
今週やりたかったこと:
- 論文目次のブラッシュアップ
- 分析のブラッシュアップ
来週やること:
- インタビュー調査の遂行
- 論文「序論」と「関連研究」の概要
うんうん唸りながら最終的には一昨日から今朝にかけてで質問項目(調査票)が完成。そのまま今日の午前中で1人目のインタビューである。ぎりぎりの進行。
手順が固まったこと、幸い協力してくれる人が多くてすでに最低限の目処は立ったことで一安心。
明日も朝から夕方までインタビューの予定がぎっしりだが、来週からは並行して本論を書き始めないと。
……大きな山を何とか乗り越え、他のことにも気を配る余裕が(ちょっとだけ)でてきた。今週は一日遅れてしまったので、来週はもっとしっかり予定を見ておきます。そろそろ読書課題も片付けないと。
KnoN(110min)
*1:本を読むということ:11月第1週のまとめ(10/29-11/4) - KnoNの学び部屋
*2:作中でもちょっとだけ触れらている。第3巻・四十五冊目(話)。
*4:ここら辺の考え方は、赤瀬川原平の美術鑑賞に対するスタンスに影響されている。
といっても又聞きなのでホントにそんなことを言っているのかどうかは確認していないのだけれど。