KnoNの学び部屋

大学に8年在籍した後無事に就職した会社員が何かやるところ。

今週の一冊#4:広告ライティングの金字塔『ザ・コピーライティング』

毎週毎週しっかり時間を取れるかはわからない。

一記事にかける時間をなるべく短くしたいなー、と考える今日この頃です。

早く書き上げて陽の高いうちに外出したい……!

 

予告通り、広告ライティングの金字塔『ザ・コピーライティング』をやっていきます。

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

 

#3『ザ・コピーライティング』

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則

 

先週は最近のベストセラーを扱いましたが、今回は一転していわゆる古典(クラシック)。

半年ほど前に上司から「いい本だよ!」と紹介されて読んでいたものの、その時すぐには役立つ内容ではなかったので半分ほどまで行って中断。

しばらく放置していたのですが、いま関わっているプロジェクトで販促のメールDM*1 を打つことになったのでその文面を検討するために読み直しました。非常に参考になった! 

時代を超えて通用するセールスライティングの真髄

原著の初版が1932年、それもアメリカでの事例ということで現代日本に適用できるのか不安を持つ人もいるでしょうが、その点は監訳者の神田昌典さんが「監訳者はじめに」でこう述べています。

 いま、改めて読み返してみても、本書は宝の山だ。

 いや、いまだからこそ、さらに価値が高まっていると言えるだろう。

 なぜなら、本書に挙げられているコピーは、インターネットが普及した環境で、より効果的に使えるからである。

(中略)

 また数十年間もの環境変化に風化せず、顧客を動かし続ける言葉に触れることは、単純に売上を上げることではなく、人間の本質的なあり方を学ぶことに他ならない。その意味で、ケープルズの科学的に実証された広告コピーをまとめた本書は、マーケッターのみならず、顧客を真に理解しようとする、すべての経営者、経営幹部にとって必読であろう。

 

『ザ・コピーライティング』p2より引用。強調は原文ママ

古典というのは時代や環境が変わっても普遍的に通用する内容を含んでいるからこその古典。

自分が断片的に考えてきたことが体系的にまとめられていて目から鱗が落ちることも多く、だからこそ私は古典を読むのが好きなのです。

ベネフィット、明快さ、科学的マインド:成功する広告のための3つの原則

本編は全18章431ページ。決して短い本ではありませんが、本質的なメッセージ自体は実はそう多くありません。

  1. 常に読み手の立場に立ち、その広告が読み手に何をしてくれるのか(ベネフィット)を第一に伝えるようにする。
  2. メッセージが読者に正しく伝わることが第一。往々にして凝った文学的な表現よりも、端的でそっけなさすら感じるコピーの方が読み手に訴求する。
  3. 良いコピーを書くための細かいノウハウはたくさんある。しかし最終的に何がヒットに結びつくかはやってみないとわからない。だからこそ客観的な数値に基づき効果検証と改良を行う「科学的に広告に取り組む姿勢」がもっとも重要となる。

繰り返し主張されているのこの3点。あとはそれをサンプルであったり、具体的なテクニックであったり、実際のエピソードを通じて解説しているわけです。

上記の3大原則を内面化しつつ、さまざまな切り口でまとめられた事例やノウハウ(「見出しを書く5つのルール(※)」「35の見出しの型」「お薦めのコピー13タイプ」など)から自分の案件にマッチするものを拾い上げて応用する、というのが基本的な活用の形になるでしょうか。

 

※ちょっと面白いのが、ページが進むにつれて「見出しの成功法則」がちょっとずつ増えていく点。

  • p63 効果的な見出し3パターン:得になること、新情報、好奇心
  • p77 成功した見出しの4つの秘訣とは?:得になる、新情報、好奇心、手っ取り早く簡単な方法
  • p84 見出しを書く5つのルール:得になる、新情報、好奇心、明るい面・プラス面、手っ取り早く簡単に

どうせなら最初からまとめとかんかい!笑 

自分のアウトプットで何かを変えたいと思うすべての人へ

この本を参考に作った文面をお客様に送付したのが先週の火曜日(1/22)。

その時点で用意できていた送付先リスト2000件弱に対し、ULRのクリックが約35件、問い合わせ獲得は2件。2種類用意していた文面(訴求ポイントを変えたA/Bテスト)ではどちらも大差なさそう……?という結果が出ています。

効果を分析するにはサンプルが少なすぎるでしょうか。来週以降も合計3000件ほどの追加を予定しているので、そうすればもっとはっきりとした違いが見えてくるかもしれません。

 

よほど自己完結的な内容でもない限り、文章(あるいは情報発信・アウトプット全般)は「この情報で受け手に何か変化をもたらしたい/行動を起こしてもらいたい」という狙いを多かれ少なかれ含みながら書かれています(このブログも同じです)。

そういう意味では直接的にコピーライティング/セールスライティングに関わる人だけでなく、自分のアウトプットで世界になんらかの影響を与えたいと思っている人全てにとって役立つ本であると言えるでしょう。神田さんも「人間の本質的なあり方」に通ずるところがあると言っていますしね。

(でも、その目的ならもっと手軽で読みやすい本がありそう、というのが個人的な所感でもありますが) 

おわりに

「売れるための文章テクニック」と書くといかにも俗な感じですが、「コミュニケーションの効果を最大化するための情報発信の工夫」と言い換えるとまさに自分が長年追求してきたテーマです。

マーケティング(特にマーケティング・コミュニケーション)の領域は、ビジネスの中でそうした問題について考えることができるので楽しいですね。お給料ももらえるし。

 

来週は引き続きセールスライティング系の名著『究極のセールスレター』をやるつもりですが、水・木・金と出張予定(展示会参加)なので読み切る時間を確保できるか微妙なところです。

最近保険について考えているので、しれっと新書で読みやすそうなこっち(『生命保険のカラクリ』)に切り替えているかもしれません。

 

それでは
KnoN( 80min)

 

伝説のコピーライティング実践バイブル―史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269

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*1:メール・ダイレクトメール=名刺交換などで取得した見込み客のメールアドレスにダイレクトメールを送信する施策