KnoNの学び部屋

大学に8年在籍した後無事に就職した会社員が何かやるところ。

哲学入門 その6(後編)

何度も読み返していたらこんな時間になった。

 

引き続き

哲学入門 (ちくま新書)戸田山和久、2014)

第六章 自由

の後半をやります。

 

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

 

 

  前半では決定論を巡る議論から、デネット「自由」概念の新たな仮説を提案したところまでを確認した。

 後半ではその仮説がいかに有用なものかを、デイヴィッド・トンプソンがまとめ直した議論から追っていく。

デネットの仮説:

  • 基本的に、自由意志=自己コントロールの能力
  • 原始的な生きものにもその萌芽はみられる。表象の進化に伴いその能力が進化した。

 

……と思って頑張っていたのだけど、自分の頭ではどうにも理解できないことが分かってしまった。

 何度読み返しても断片的な情報が繋がらない。

 もう諦めて箇条書きにする。

 

◯「コントロール」とは

目的を持つエージェントAが他のBを使って自分の目的を達成しようとすること

⇒「目的」と「行為」を結びつけるために物理学的決定論が必要。

→環境(自然法則)は「わたしたちに何かをさせようとするエージェント」ではないので、「コントロール」には当たらない。

 

◯「自分が自分自身の行為を目的のために制御する」ことが自己コントロール。
→内部メカニズムの機能不全により「目的」と「行為」が結びつけられなくなった状態を、「自己コントロールの喪失」として位置づけられる。

→(メカニズム)決定論は自己コントロールとしての自由と対立しない

 

◯反論:「自由」はもっと高級なもの、プラスαがあるのでは?

→たとえば行動に「合理性」があるかで区別できないか。

→「合理的に行為する」ことは自然主義的立場から説明可能である。

→「物理的原因が生きものに因果的影響を及ぼす仕方が、その原因がそれにとってもつ意味に基づいていること。即座ではなく時間をおいた反応を許していること」がその正体。

合理的行為と物理的原因による行為は対立しない

 

◯原始的な生物も「自由」の萌芽を持っている。それは徐々に進化して人間の考える「自由」のようなものになっていった。

→人間は「自分がしている行為の理由を知ることができる(=反省的)」という点で他の動物と異なる。

→表象の分離(記述面/指令面)がそれを可能にする。

→さらに目的手段推論の結果として、目的を変更することもできるようになる。

 

◯反論:人間は行為の前にその結果を検討することができる。しかし「次に何をするのかすでに決定している」のならば、その検討自体が無意味なのではないか?

決定論と宿命論を区別すべき

 自身の検討と無関係に出来事が決定されるのが宿命論であり、人生の多くの局面において検討が出来事の決定に役立つのなら、検討に意味はあるといえる。

 

◯反論:決定論が正しいのなら、検討の結果とはつまり「そうせざるをえなかった(=他行為可能性がなかった)」ということであり、結局「自由」はないことになるのでは?

→この議論は「自由のためには他行為可能性が必要」ということを前提としている。

→しかしその前提は正しくない。ハリー・フランクファートの思考実験により確かめられる。

フランクファートの思考実験

 AはBの心に介入して完全にコントロールできる手段を持っているとする。ただし、AはBが自分の意に沿ったことをしようとしている限りは介入しない。

 BがあることXをしようとしている。XはAの意に沿った行為である。

  1. BはXをしようとして、実際にXした。
    →Aは介入しない。
  2. BはXをしようとしたが、実際にはしなかった。
    →Aは介入してXをさせる。

 1.でも2.でもBは結局Xという行為を実践している。つまり他行為可能性はなかった。

 しかし少なくとも1.においては、Bは「自分の自由な選択として」Xを行っている。 

他行為可能性は「自由」には必要ない

 

◯そもそも不可避性などの概念が意味をなすのは、わたしたちのような有限の行為者にとってのみである。

→すべてが決定されており、それを知りうるのならば、「危険な事態が避けられた」のではなく「そんな事態はそもそも起こるはずがなかった」となる。

⇒「このままならある事態が起こるのは決定的」だが、「検討の結果そうではない因果を導くことができる」のならば、それは可避的な決定論である。

 

◯わたしたちは「起こってしまった過去」を変えることはできない。しかしその反省を元に「類似したこれからの未来」を変えることはできる。

→「他行為可能性としての自由」とは、「過去の間違いから学び、未来の行動を修正する能力」である。

 

◯結論として、「自由なエージェント」は次のような能力を持つ。

自由なエージェント

  • 理由によって行為できる
  • 行為に先立ってその行為(の予測される結果)を検討できる
  • 経験に基づいて自分の将来の行為を再プログラムできる

 →そしてこれは「決定論的な物理システム」があってこそ成立する。

 

 

【今回の三行まとめ】

  • (省略)

 

……もー、頭がこんがらがってきたからこれで勘弁してください。

 そもそも筆者自身が「自分の立場を決めかねている」とか言っているから分かりにくいに違いない。

 自由と決定論の両立のバランスがデリケートすぎて、とてもまとめきれない。気になる人は本文読んでください、ということで。

 

それでは

 

KnoN(100min)

 

自由は進化する

自由は進化する

 

 

Daniel Dennett (Continuum Contemporary American Thinkers)

Daniel Dennett (Continuum Contemporary American Thinkers)