演技と演出 前編
どうにも心身の調子が整わない。
待ってるより無理矢理引っ張り上げた方が良いんだろうか。
前回の続編
演技と演出 (講談社現代新書)(平田オリザ、2004)
の前編をやります。
前作『演劇入門』が「戯曲を書く」という行為からリアルな言葉のメカニズムを追究したのに対し、本作では「演じる・演出する」という営みに焦点を当てた内容となります。
序章 演技とは何か? 演出とは何か?
◯本書では便宜的に「演技=俳優が自己を制御して何らかの振る舞いをする」「演出=外部から制御されて何らかの振る舞いをする」と呼び分けるが、本質的には同一の内容を持っている。
◯(著者が考える)演出家に要求される5つの資質
- 世界観
- 方法論
- 構成力
- 説得力
- リーダーシップ
◯本書は著者(平田オリザ)が行ってきたワークショップの流れに沿いながら、演出家の仕事や考え方を示し、それが先の五つの条件とどう関連しているかを考察することを目的とする。
→ワークショップ自体が単なる知識や技術の伝達・習得ではなく、演劇を通じて身体表現・言葉・コミュニケーションに興味を持ってもらえるようにデザインされている。
第一章 イメージを共有する
◯コミュニケーションの出発点は「人それぞれ、言葉から受けるイメージが違う」という点。
→「動作のイメージ」についてはさらに難しい。「エア・キャッチボール」をやってもらうとそれがはっきりと分かる。
→日常的な動作でさえも、それを「演技」として意識してやろうとすると把握しきれていないことに気づく。
◯世の中にはイメージの共有しやすいものと、しにくいものがある。
→例えば大縄跳び。比較的単純な動作、「実際の体験」と「そのときの感情」が既に共有されていることが多い、というのがその理由。
→表現しやすいのは「共有しやすいもの」だが、観客が求めるのは「しにくいもの」、特に一番難しい「人間の心の中」だろう。
……こうして登場人物の気持ち、心の中が、直接的なイメージとして観る側に伝わった時に、演劇的な感動が起こります。私たち演劇人は、多くの場合、この感動を目指して作品を創ります。
しかし、先にも述べたように、この人間の心の中というものは、なかなかイメージの共有のしにくいものです。ここに演劇を創る最大の困難もあります。
→この「イメージの共有」を行いやすくするための仕掛け・工夫が「構成力」。「しやすいもの」から「しにくいもの」へと観客の想像力を誘導していく。
◯イメージ共有のため「標準的」な演技をしようとすればするほど伝わらない。むしろ特殊に見える動作を行った方が伝わりやすい。
→人それぞれに思い描く「標準」がある。「自分だけの標準」という逆説的な状況がイメージの共有を疎外する。
……集中切れてきたんでここで一休み。前・中・後の三部でいくか。三行まとめも最後に一括でやります。
それでは
KnoN(60min)