談話と対話 その2
なかなか思い通りに進まないので、とにかくできたところからやっていく。
引き続き
談話と対話 (言語と計算)(石崎雅人ほか、2001)
の
第3章 意図の理論とその形式化
をやります。
第3章 意図の理論とその形式化
ここまで言語行為について「意図」という抽象的な概念を用いて説明してきたが、計算論的アプローチではこのような一見自明な概念をあえて形式化・分析的にとらえることで厳密な理論の体系を組み立てていくことに特徴がある。
本章では「意図」を形式化することで以後の展開の基礎を作ることを目的とする。
◯ブラットマンによると意図は主に未来志向的であり、次のような3つの性質を持つ。
意図には「〜をするつもりである」という未来志向意図と、「意図的に〜をする」という現在志向意図がある。ブラットマンは(大まかに言って)後者を前者の時間限定的なものであるとし、未来的意図を主な側面と考える。
未来志向意図の性質
- 計画立案への入力:意図を将来達成すべき目標として保持する
- 計画立案過程への整合的な方向づけ:保持している意図と矛盾するような意図は持たない
- 将来における意図の達成の(自己に対する)責務:主体はできるだけ現在保持する(未来志向)意図を達成しようとする
◯コーエンとルベックは前項で述べた性質を満足するような「意図」概念を、様相理論にもとづいた体系を用いて形式化した。
→「行為」「信念」「目標」から「持続的目標」という概念が形式化され、「意図」はその一種であると位置づけることができる。
※「行為・信念・目標」および「持続的目標」の形式的な定義は本項の中心的な内容ですが、論理記号を多用し表記が非常にめんどくさいので省略します。
◯我々の日常的な活動の多くは複数の主体で共同して行う共同活動である。意図の理論は共同意図として複数の主体が関わるものに拡張することができる。
※同上の理由で省略。
◯意図の形式化を元に「試み」という概念を導入することによって、「依頼」「情報伝達」「質問」などの言語行為を形式化することができる。
「試み(attempt)」の定義
=効果αをもたらすために、(αの達成に貢献する)結果βを生み出すことを意図して、行為eを実行するという複合的な行為。
それは次のような条件のもとで実行される。
- 達成しようとしているαが成立していない
- eの実行によりαを達成することを目標とする
- eの実行により、(αの達成に貢献する)βを達成することを意図する
※具体的な形式化については同じく省略
【今回の宿題】
- 形式化の内容は全体的に要復習
- 特に「様相理論」とは何か
……手を抜いているわけではないのです。これをもう一段真面目にしようとすると必要な労力が跳ね上がってしまうのです。
論理記号に不慣れなためまず読む(式の意味を解読する)のに一苦労。次にそれを(ほとんど忘れてる)TEXあたりをつかって表記するのに一苦労。最後にその式の変形の意味をわかりやすく解説するのに一苦労。合計三苦労くらい。
さっくりやってどんどん次のテキストに行こうと思っていたけれど、案の定2冊目は内容が手強いです。もう諦めて1日1章のペースでやります。
KnoN
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