KnoNの学び部屋

大学に8年在籍した後無事に就職した会社員が何かやるところ。

コミュニケーションの原理の話:伝えてないのに伝わること

ちゃんとしたことを書くのはめんどくさいです。

はっきりとした具体性を持たないまま頭の中を漂っているアイデアレベルの思いつきを、きちんと人様が読めるレベルに膨らませて整理してまとめ上げるのは非常にめんどくさいです。

 

だからこそ世の中のブロガーと呼ばれている人たちはすごいのだと思いますが、無い物ねだりをしてもしょうがありません。

 

時間が有り余っていた学生のころは一本のブログ記事を書くのに2時間も3時間も使っていましたが、今ではそんな贅沢な時間の使い方ができるはずもなく。

というより「毎日更新」の習慣を続けるためにはあと一時間以内でなんとか記事を公開しないといけないわけです。

だから今日書くことが要領を得ず、とりとめのないことであっても、怒らないで欲しいなぁと思います。

 

 

伝え方が9割

伝え方が9割

 

 

 コミュニケーションへの疑問:伝えてないのに伝わること

相変わらずコミュニケーションのことに興味を持っています。

大学院の修士課程では、自分の能力的にも修了までの年限的にもできることが限られていたので、その制約の中で論文として成立させられそうなテーマを探して最終的に「ビジネス書の要約」というところにたどり着いたわけですが、本来的にはもっと哲学的?なレベルでコミュニケーションを考えたいと思っています。

 

仕事にも慣れてきたからか、最近そうしたテーマへ考えが向くことが多くなってきました。構造としては(自分の中で)目新しいものではありませんが、『伝えてないのに伝わること』とでも言えばいいでしょうか。具体的に説明できないか、ちょっとチャレンジして見ましょう。

 

コミュニケーションのモデル:アリスちゃんとボブくんのケース 

今ここに、情報の送り手(アリスちゃん)と受け手(ボブくん)がいると考えます*1。アリスちゃんが思いついたことをボブくんに伝える過程を追っていってみましょう。

 

  1. アリスはあることをぼんやりと考えます(アイデア)。
  2. それをボブに伝えたくて、まずは思考言語を使って頭の中で整理して見ました(メッセージ)。
  3. それを口頭あるいは文書で伝えようと、発話言語を使って具体化します(スピーチ)。こうした過程で、「アイデアには含まれていたはずなのに思考言語や発話言語に落とし込めなかったがために漏れてしまった内容」が発生します。
  4. アリスの発信したスピーチをボブは受け取ります*2
  5. ボブはとにかく手元にあるスピーチ’をもとに、その内容を理解しようとします。同じ言葉を使っていても、用語一つとってもそこに込められたニュアンスは異なってくるので、再生されたものはボブの独自の「解釈」となります(メッセージ’)
  6. ボブはさらに解釈したメッセージ1’を、自分の経験や知識に結びつけて発展的な情報として認識します。連想は無意識レベルで起こるので、もはやボブ自身にも全容は把握できませんが、それは確かにボブの頭の中にあります(アイデア’)

 

こうしてようやく両者の間でコミュニケーションが完了します。

長々書いてきましたが、この時起こっていることをごく簡略化して書くと、こんな感じです。

  • アリス:考えたこと=アイデア、発信したもの=スピーチ
  • ボブ:受け取ったもの=スピーチ、コミュニケーションの結果として生まれた情報=アイデア

 

……なんだかこの時点で既に自分の「考えていたこと」をきちんと形にできていない気がしますが、せっかくなのでもう少し続けましょう。

 

不思議な不等式

「スピーチ」は原理的に、当初考えていた「アイデア」や「メッセージ」に比べて小さいものになります。先に述べていたように、不定形の「アイデア」の全てを具体的な「スピーチ」が引き受けることができないからです。

しかし時として(というか現実には日常的に)、スピーチそのものの持つ情報量を上回るものとして「アイデア'」は生み出されます。そしてその内容も的外れなものではなく、まさに「一を聞いて十を知る」状態が起こっています。

このとき

伝えたものの量 < 伝わったものの量

という不等式が成立しているわけです。

……不思議じゃありませんか?

 

量子力学的な現象を連想させますが、要するに「表面的に見えている、具体的にやり取りされたもの(スピーチ)以外のコミュニケーションの回路がある」ということなのでしょう。

しかし私がここまでみてきた限りでは、この回路についてきちんと説明している研究はありませんでした。

この現象は一体どういうことなのか? あるいはここまで説明してきたこと自体に何か見落としがあり、現象自体が私の勘違いなのか?

そのあたりのことをきちんと整理したいとうのが、コミュニケーションの原理に関わる自分の問題意識です。

 

おまけ・三年前の自分に出会う

……「コミュニケーションの原理」と書いたところで思い出しました。

三年前、院試の口述試験の時に同じようなことを考えた記憶があります。

というか当時ブログの記事にもしてました。

 

knon.hatenablog.com

 

三年経ってもまるで成長していない……?

 

まあいいや、大した問題じゃないさ。ということで、引き続きこの疑問については、頭の片隅に起きつつ考えていきます。

 

今日はこの辺りで。

週末で時間があるさと思ってめんどくさい話を取り扱ってみたものの、やっぱり疲れました。しかも時間ギリギリだし。

 

KnoN

通信の数学的理論 (ちくま学芸文庫)

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*1:送り手=A=Alice、受け手=B=Bobというのは、情報通信の世界ではおなじみの二人ですね

*2:通信には常にノイズが混ざる可能性があるので、100%同じものがボブのもとに届くとは限りませんが、ここでは一旦無視しましょう