KnoNの学び部屋

大学に8年在籍した後無事に就職した会社員が何かやるところ。

2020年4月に読んだ本まとめ

4月はあまり本を読めませんでした……。

外出自粛で「週末にカフェにでかけで読書」の習慣がなくなってしまったのもそうですが、単純に会社の仕事(コロナ対策)が忙しすぎて本を読む体力・気力が残っていませんでしたね。
月の後半からは徐々に戻したものの、「仕事からの気分転換・リフレッシュ」の意味合いが強い本のチョイスになりました。
冊数こそ少ないですが趣味の本だけあって語りたいことは多く、文字数的には前回以上になっています。

新型コロナウイルスの影響はもはや一過性で終わるものではなくなってしまいましたが、なるべく早く落ち着いて本を読める日々を取り戻したいものですね。

2020年読了数: 17冊 / 50冊

★今回の一冊

箱の設計 -自由自在に「箱」を生み出す基本原理と技術

箱の設計 -自由自在に「箱」を生み出す基本原理と技術


#16 箱の設計

箱の設計 -自由自在に「箱」を生み出す基本原理と技術

箱の設計 -自由自在に「箱」を生み出す基本原理と技術

たぶん丸3年くらい積まれてた完全趣味の本。本棚の整理途中にパラパラ眺めてたらつい面白くてそのまま最後まで読み切ってしまった。
図版が多いので一気に読んでも1時間少々。積むのは3年、読むのは1時間……。

ダンボールとかお菓子や雑貨の容れ物とか、そういう商用のパッケージがここでいう「箱」。
主役にこそならないものの、強度・デザイン性・経済性*1を高いレベルで融合させる必要があるため各所に匠の技が仕込まれているという、なかなかマニア心をくすぐる領域。

実は学生時代から好きではあったのだが、ニッチであるために体系的に学べる場所も方法もわからずにもどかしかった。
アマゾンで他の本を探している際にたまたま見つけ喜び勇んでポチったものの、そのときには先に読むべき本があったためタイミングを逃す。そして本棚の片隅でホコリを被ったまま3年の月日が経ってしまっていた……。

肝心の内容は期待以上。デザイン系の学生向けに「箱作りのいろは」から丁寧に解説してくれている。
特に箱閉じの手法の「クリック・ロック」「ベロ式ロック」「底ロック」という名前がわかったのが感動。これからはビシッと言えるぞ!

出てくる箱も序盤こそシンプルな形状だが、学生による作例を紹介するpart6で出てくるものは凄まじい。自分でもちょっと作ってみたくなってしまった。

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丁寧な用語解説(p12)
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美しいものからエキセントリックなものまで含む作例の一部(p82)

#17 社長業のオキテ

こちらも本棚整理からの積み本崩し。積まれ期間は『箱の設計』以上のはずで、ひょっとしたら5年以上かもしれない。

存在を知ったのはやる夫スレ『やるやらで学ぶゲームの歴史』の参考文献として*2。 「小ネタ」として紹介されていた「大川功の名刺*3」が印象的だったのと、あの「シーマン*4」の作者だったということで原本を読みたくなり注文。
ただこちらもまとめ買いのついでだったのでそのときは優先順位が低く、ズルズルと積み本へと回っていってしまっていた。

外出自粛で本屋に行かなくなり本棚への新刊の供給が途絶えたこと、気分転換に軽く読めるものを求めていたこと(形式としてはエッセイ)から白羽の矢が立ち、ウン年ぶりにページを開くことになった。
こちらも読み始めればあっという間で、一日の合間に読み進めて3~4日程度で読了した。

タイトル通り「ゲームクリエイターとして」よりも「中小企業の社長として」の内容がメインとなっている。
今の自分も中小企業に所属し、マーケとして経営の上流に近いところで仕事をしていることから、想像以上に共感を持って読むことができた。

特に引用した「ビジョンとは『経営者の願望力』である」とする一連の下りと「仕事とは『通訳』である」という一節は、 自分の仕事観と強く共鳴して思わず深くうなずいてしまった。

「未来のビジョンがない会社は倒産する」などと経営の本ではもっともらしく書かれていますが、この「ビジョン」という言葉の正体は、実はこの、「経営者の願望力」ではないかと思うのです。(p47)

経営者の腕というのは、自分の願望をいかに会社全体の願望にすげかえるかの技術ではないかと最近とみに思うのですが、ひとたびその願望が社員たちに受け継がれると、とてつもないスピードと力を発揮するという風景を、自分の業界でも何度か目の当たりにしてきました。(p52)

あなたが会社を始めるときに「達成したい」と思っていた、個人的だけれど本能に従った強烈な願望。それこそが、企業のエネルギーであって、「その願望に共鳴した人がその会社に何人いるか」が会社経営の苦労を背負う者にとっての唯一の喜びになる。会社経営という面倒な仕事をこなすモチベーションになると思うのです。(p59)

どんな業界であっても、仕事というのは、「通訳」だと思っています。僕らの業界では、プログラマーであれば、企画者が望んでいることをコンピューターという機会に伝えるのが仕事ですし、施主の希望をしっかりと理解してそれを図面にするのは建築家の仕事です。そうやって振り返ってみるとすべての仕事が「通訳」である、ということになると思うのです。(p162)

番外2 ティファニーで朝食を

何度目かわからない再読。再読(しかも併録の他の短編は読んでない)ということでカウント外。

(解説にも書かれているけど)一般的にはオードリー・ヘップバーン主演の映画版の方がおそらく有名で、ストーリーは結構アレンジされてるらしい。
映画は未見。そのうち観たい。

「マイ・オールタイム・ベスト」に入る小説の一つ。初読は割と最近で2017年の夏くらいだったと思うが、3年の間に結構な頻度で読み返してる。 外出自粛で気分転換の手段が限られるなかで、フィクションの世界に入りたくて再び手にとった。

好き、好きなんだけれど、具体的にどこが好きかと聞かれると答えるのが難しい。
ヒロイン・ホリーのキャラクターは大きな要素だとは思うが、ここも「どんなのとこが?」となるとよくわからない。
まだ自分の中では消化の途中なのかもしれない。

文体が好き、と書いてそういえば村上春樹の訳だったということを思い出す。
村上春樹は『色彩を持たない〜』しか読んだことないけど、割と好きな感じでした。

本筋とはあまり関係ない部分だが、とても印象に残っているのが次のフレーズ。
人生、旅行中。いつかどこかで使ってみたいものです。

そのアパートメントに移ってきて一週間ばかりたった頃、二号室の郵便受けの名札入れにいささか風変わりなカードが入っているのが目にとまった。社交用の名刺みたいにあらたまった書体で印刷されており、「ミス・ホリデー・ゴライトリー」、その下の隅に「旅行中(トラヴェリング)」とあった。それはまるで歌の文句みたいに僕の耳に残った。「ミス・ホリデー・ゴライトリー、トラヴェリング」(p21)


最近小説系へ意識が向いているのは、やっぱり仕事が忙しくて疲れているからでしょうか。
実は書く方の意欲も地味に高まってきていて、連休中に掌編の一本でもかけたらなー、と思っています(まだ四日ある!)。

ティファニー』のところで「マイ・オールタイム・ベスト」というフレーズを使ったので、このブログの過去記事(5年前!)を読み返してみてました。
このときは7+3冊上げているけれど、今の基準とは結構違ってますね。久しぶりにやってみるのも面白いかも? knon.hatenablog.com

KnoN

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*1:建築出身者としては、ここでウィトルウィウスによる建築の基本原理「用・強・美」を引き合いに出したくなる。

*2:ちなみにこのシリーズからは「外伝その11 "史上最凶"への遠い道」のネタ元である『起業する時 ゲーム制作という仕事』も買って読んだ。こっちもおすすめ。

*3:小ネタ 大川功の名刺」より

*4:1999年にドリームキャスト用ソフトとして発売された育成シミュレーションゲーム。「ゲーム中のキャラクターと会話ができる」という新しいゲーム体験と、衝撃的な人面魚のデザインで話題となった。