KnoNの学び部屋

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高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学 その1

一つ目のテーマ、「世の中とお金」。

とりあえずはとっかかりとしてこの本をテキストに進めてみたいと思っています。

 

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学(菅原晃、2013)

 

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学

 

 

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学

高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学

 

 

推薦文や序文によると、

「経済学の揺るぎない基礎を身につけるため」の本

「高校の勉強(政治経済、現代社会)と大学の教科書(経済学)の橋渡し」となる本 

 

とのこと。(括弧は筆者注)

 

高校のときの政経なんて授業があったことすら覚えていないのですが、なんとか読み進めていきたいと思います。

 

まずは第1章 GDP三面等価から。

第1章 GDP三面等価

三面等価」とはどういうことか?

GDP三面等価の原則

GDP国内総生産)で表される値は、三つの意味を持っている。

①労働により生じた付加価値の総和(生産

②それにより得られる所得の総和(分配

③所得の使い途(貯蓄含む)である支出の総和(支出

  •  生産した付加価値は、働いた人たちの所得となる(①→②)
    GDP*1とGDI(国内総所得)は常に一致する(GDP=GDP)。というか同じモノを違う面から見ている。

  • 獲得した所得はいろいろな用途に支出される(②→③)
    =何かを買うのに使ったり、税金を政府に納めたり、使わなかった分を貯蓄したりする。

  • 支出のうち使われたものは、付加価値に対して支払われたと言える(③→①)

 

以上のステップから考えると、GDP国内総生産)、GDI(国内総所得)、GDE(国内総支出)の3つの数値は必然的に一致する。

   GDP=GDI=GDE

 

ISバランス式

次にGDPの3つの面の内訳について考えてみる。

①生産=Y

→生産活動に種類はない。ということで生産(Yield)のみ。

 

②分配(所得)=C+S+T

→所得の使い途。消費(Consumption)、貯蓄(Saving)、納税(Tax)の3種類。

 

③支出(購入)=C+I+G+(EX-IM)*2

→誰が付加価値に対してお金を払ったか。消費者の消費(Consumption)、企業の投資(Investment)、政府の活動(Government)、外国の活動(輸出;EXportと輸入;IMportの差額)の4種類

 

三面等価の原則より①=②=③となるので、

   Y=C+S+T=C+I+G+(EX-IM)

これを整理して

   S-I=(G-T)+(EX-IM)   ISバランス式

というものが導きだせる。

⇒G-Tが政府の収支、EX-IMが外国の収支をだとするとS-Iは民間(消費者と企業)の収支?

⇒貯蓄Sという元手(収入に相当)からいくらかを投資I(支出に相当)に回している、ということだろうか。

 

ISバランス式の意味

この式をさらに変形して

   S=I+(G-T)+(EX-IM)

これは2つの意味を表している(らしい)。

①貸した総額=借りた総額

貯蓄Sという元手により、投資I、政府活動の不足分G-T、外国の活動の不足分EX-IMが賄われている、ということか。前者2つは分かるけど、最後の「外国の活動の不足分」がちょっと引っかかる。外国の活動による貿易の赤字額を、日本の金融機関を経由した借り入れによって充当している?

 

②生産の残り相当分=消費した人

ここがよくわからない。わからないので説明をそのまま引用してみる。

家計が貯蓄をすると、その分を誰かが消費(支出)しなければ、売れ残りになります。その分は、企業が投資・消費し、政府が投資・消費し、外国が消費します。公債の発行は、政府が民間にかわって消費することを示し、貿易黒字は日本国内で消費されなかった生産財・サービスを外国が消費(購入)したことを示します。

後ろの文の説明は分かるんだけど、前半の「売れ残りになります」っていうところが引っかかる。

売れ残りはそのままにしといたらだめなの? どうして消費仕切らないといけない?

⇒購入から生産の流れを考えると、誰かが買わないと付加価値がお金に変わらず、従って労働がお金に変わらない、ということなんだろうか。

 

以上のことからいえる2つのこと

一つ目、国債は政府の借金であると同時に国民の財産である

→ISバランス式の①の意味より、国債(=政府活動の不足分)G-Tは貯蓄Sによって賄われている。だから政府が借金を返す相手は国民であり、国債はそのほとんどが国民の資産(もちろん外国が保有している分は除く)。

 

二つ目、貿易黒字はそのまま外国への資金の貸出

→これも同じく①の意味より、外国が日本からモノ・サービスを買おうとしたとき、日本の貿易黒字状態だと(少なくともこの二国間取引において)支払代金の不足が生じる。だから日本の貯蓄Sから資金を貸し出し、支払に充ててもらう。日本からはモノとお金が出て行き、手元には貸出手形(元本+利子の価値がある)が残る、という塩梅。

 

【今回の三行まとめ】
  • 生産、分配、支出は、同じモノを別の面から見たものである(三面等価の原則)
  • 三面等価の原則とその内訳から導かれるISバランス式は、①貸した総額=借りた総額、②生産の残り相当分=消費した人という2つの意味を持つ
  • 民間の資産である貯蓄Sこそがあらゆる経済活動における元手となっている

 

 入れ損ねたオマケ

GNP(国民総生産;Gross National Product)

=ある一定期間にその国の国民により生産されたすべてのモノ・サービスの付加価値の総和

→GNPとGDPのギャップが「海外との取引の結果」になる

GNP=GDP+(海外からの純所得)

  

名目/実質GDP

GDPの期ごとの変動に物価の変動を考慮するかどうか。そのままが名目、考慮したものが実質。

実質GDP=名目GDP/GDPデフレータ(物価指数)×100

GDPが名目値で増えていても、物価が上がっていれば「支出する力」が割り引かれる。

 

……前回に引き続きやたら時間がかかりました。1時間半で学んだことをまとめるのに2時間半かかった。もうちょっと手際よくできるようになりたいです。

 

のっけから「労働により付加価値が生じる」って自明に書いてますが、とりあえず違和感は飲み込んでそういうものだと思って進めていきます。突き詰めるのはまた別の機会に。

 

三面等価の部分はともかく、ISバランス式の意味の部分でしっくりきていないところがあるので、もうちょっと考えてみたいです。誰か詳しい人がいたら教えてください。

 

それでは

 

KnoN

 

 

 

 

*1:GDP国内総生産;Gross Domestic Product)

=ある一定期間に国内で生産されたすべてのモノ・サービスの付加価値の総和

→例えばパンを例にして考える。農家が100万円分の小麦を作り、製粉業者が加工して150万円でパン屋に卸し、パン屋はパンを焼いて200万円の売り上げを得る場合、生産物の価格から中間生産物の価格を引いた「労働による付加価値」の総和なので、

   (100-0)+(150-100)+(200-150)=200万円

がこのときのGDPになる。

*2:「国の経済全体で見た供給と需要は一致する(総供給=総需要)」という別の等式を利用する。

   総供給=生産Y+輸入IM

   総需要=消費C+投資I+政府G+輸出EX

より

   Y+IM=C+I+G+EX

変形して

   Y=C+I+G+(EX-IM)